盛土

今回は、住宅地盤について考える上で、また地盤改良工事を行う上で配慮しなければならない、地盤の沈下に関わる「盛土」について説明していきたいと思います。

盛土とは?
自然地盤の上に土砂などを盛り上げて造成した土地のこと。材料や施工方法により著しい優劣がある。盛土の下の地盤が軟弱(水田など)であると、自重のため地盤沈下を起こしやすい。

良くない盛土(不同沈下が発生しやすい)
・土丹礫、岩塊、建設工事の残材、ごみ、産業廃棄物など雑多なもので盛土している地盤(地盤が不規則に大きく沈下して、建物、外溝、埋設管など著しく変形する場合が多くあるため)
・各部の転圧の程度が均一でない地盤

良い盛土(宅地に適している)
・盛土材の品質、転圧/締固め、強度確認などの品質管理がきちんとなされている。(具体的には、粒度分布のよい砂質系の材料でよく締め固めてられていること)
・1層当たりの捲き出し厚さが30cm以下、締固め度90%以上で、スウェーデン式サウンディング試験で自沈しない
・盛土が擁壁に囲まれている場合は、擁壁に水抜き孔が適切に配置され、適切な地表面勾配
を確保し、排水がなされていること(盛土が擁壁や地下車庫で囲まれていると、雨水を排水しにくく、宅地面が泥質化したり、地下車庫から漏水したりしやすいため)
・台風、梅雨などによる大量の雨水を経験している(もしくは地盤改良などの対策を講じている)
・盛土を行われた地盤が沈下期間を終えている

地盤に建てられる建物だけでなく、地盤に盛られる土ももちろん荷重であり、これが意外と重く、場合によっては大きな沈下原因となるため、建造物を建設する際は盛土についてもよく留意しなければなりません。

引用・参考文献
直井正之著『住宅をつくるための「住宅基礎の地盤」がわかる本』 建築技術 2002年
監修/藤井 衛 企画・編集/若命 善推・高田 徹『DVDを見てわかる住宅の基礎と地盤 ザ・ソイルⅢ』 建築技術 2006年
共著/藤井 衛・若命 善推・田村 昌仁・伊集院 博『ザ・ソイルⅡー住宅の基礎性能と地盤補強』 建築技術 2002年

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