圧密沈下と粘土地盤

前回、「川がつくる地盤」
http://www.ysgiken.co.jp/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E5%B7%9D%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%E5%9C%B0%E7%9B%A4/
にて、「粘土やシルトが堆積した土地が『後背湿地』と呼ばれる軟弱地盤」と書きましたが、ではなぜ粘土やシルトが堆積した土地は軟弱地盤なのでしょうか。

それは、粘土地盤が長期間に渡る圧密沈下を引き起こす原因になることが多いからです。

例えば、水をたっぷり含んだスポンジを上から指で押すと、水はスポンジから染み出し、染み出した水の分だけスポンジが下に沈みます。
これと似たことが地盤にも言えます。大きな地盤沈下が発生する地盤の土は、たくさんの水を含んでいるため、上から荷重を受けるとじんわりと水が排出されて土の体積が小さくなって下に沈みます。
これが圧密沈下です。

たくさんの水を含んだ粘土地盤は圧密沈下する際の沈下量が大きく、またスポンジとは違って透水性が低いため沈下(排水)には長い時間がかかってしまいます。
長い時間をかけて少しずつ沈下していく圧密沈下は、建物が竣工したときではなく、それから数ヶ月~数年たってから住宅や住人の健康に障害をもたらします。

しかし事前の調査で地盤改良工事が有効であると判定された宅地については、地盤改良工事の各種工法によってこの圧密沈下による沈下障害を防ぐことができます。

引用・参考文献
直井正之著『住宅をつくるための「住宅基礎の地盤」がわかる本』 株式会社建築技術 2002年

関連記事

PAGE TOP