新しい土と古い土

前回の記事ではレキ・砂・粘土・シルト、それぞれの違いについて書きました。
では、逆にこれらの土の共通点は何でしょうか。
これらの土は、地球の歴史から言うと「新しい土」沖積層に分類されるという点で共通しています。

詳しく見ていくと、地球の土は3つに大別されます。
1、沖積層
堆積時期:0~1万年前
特徴:地球の歴史からすると、新しい土。軟らかい。
ごく最近堆積した、主に流水によって運ばれていた土砂などが積み重なってできた地層のこと。ここに堆積する土の種類は、砂・シルト・粘土・腐植土などが代表的です。

2、洪積層
堆積時期:1~200万年前
特徴:古い土。安定している。
土の種類は、洪積層同様に流水によって運ばれてきた土砂のほかに、風によって運ばれてきた土も多く、ローム(一般に火山灰起源の土。日本の可住面積のほぼ半分の地域に堆積している)はその代表です。
例え沖積層と同じ土の種類でも、堆積して1万年以上が経過している洪積層の土は先行圧密や年代効果により安定しています。

3、第3紀層以前
堆積時期:200万年前~
特徴:もっと古い土。固結している(≒岩)
ごくまれにトラブルとなることもありますが、基本的には支持力や沈下の問題がない土(岩)です。

その他、人工土
土の種類:盛土
特徴:人間が造成工事によって人工的に盛った、極めて新しい土です。材料、施工方法により著しい優劣があります。

宅地の地盤の強度として問題になるのは、この中で新しい土として分類される、沖積層の土と人工土です。

初めて出てきた土の種類についての説明を付記しておきます。
・腐植土
過去に湿地、沼に繁茂する植物により構成され、ほとんどが植物の茎、根と水。圧縮性がきわめて大きく不同沈下が大です。そのため腐植土が堆積した土地は、宅地に向いていません。

・ローム
火山灰(噴出物)が風に運ばれ堆積。堆積時代は古く、大きな地耐力があるが、乱す(こねる)と軟弱化します。

引用・参考文献
直井正之著『住宅をつくるための「住宅基礎の地盤」がわかる本』 建築技術 2002年
監修/藤井 衛 企画・編集/若命 善推・高田 徹『DVDを見てわかる住宅の基礎と地盤 ザ・ソイルⅢ』 建築技術 2006年
共著/藤井 衛・若命 善推・田村 昌仁・伊集院 博『ザ・ソイルⅡー住宅の基礎性能と地盤補強』 建築技術 2002年

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